トレイルランニングに挑戦
トレイルランニングとは、自然の中で行われるランニングのこと。通常の道路やトラックではなく、山や森、登山道などの自然環境で行われることが特徴だ。
トレイルランニングは山の中を走ることが多く、美しい景色や清々しい空気を楽しみながら走ることができる。
山ということは起伏のある地形や様々な道が待っている。トレイルの特徴的な地形や障害物が普段では得られない刺激を与え、より挑戦的な体験ができるのだ。
自然の中でのランニングはストレス解消やリフレッシュ効果にもつながる。自然の中の静寂や美しい景色に囲まれながら走ることで、リラックスやリフレッシュを感じられるだろう。
そんなトレイルランニングについて書いていこう。
トレイルランニングの魅力とは
トレイルランニングはアメリカやヨーロッパでも人気があり、日本でも愛好家が増えているスポーツだ。
いつも走っている道路を外れて、公園の立ち木の間や川岸の土手の上などを走ってみると、いつもと違う刺激を得られるだろう。
足は横方向にも力を発揮して体のバランスを取ることが求められる。障害物をクリアするために路面に意識を集中することで、トレイルランニング気分を味わえるはずだ。
そこから実際に里山や低山を走ってみよう。
山道の登り下りは、さらに難度が上がり、バランス感覚や集中力が必要になる。上手く速く走るにはどうしたらいいのかトレイルランニングならではのテーマがいくつも見つかるはずだ。
足への負担軽減と関節・筋力の強化
整地されたロードランニングと違い、登山道でのトレイルランニングでは整地されておらず足場が一定ではない。
状況に合わせたフォームや動きが必要とされ、柔軟な脚運びが身につくだろう。
石段を登るなどいつもと違う筋肉を使う。時には足だけではなく手も使うので、様々な箇所の筋力トレーニングとしてもおすすめだ。
また、コースや条件によって体の負荷を抑えることもできる。
ロードランニングは硬いアスファルトの上を走るので、着地時に足やひざに負荷がかかっているのだ。
落ち葉の多い登山道やトレッキングコースであれば、足への負担を軽減できる。
自然との触れ合いと飽きずに走り続けられる
常に足場や景色、状況が変化するトレイルランニング。草木や岩、沢を走ることで自然と触れ合える。
同じコースを走っていても時期や時間帯、天候によって景色が大きく異なる点も魅力だ。
舗装路を走っていることに飽きてしまったというような人でも、精神的な負担が少なく、新鮮な気分で走れるだろう。
必要な装備や準備物の紹介
トレイルランニングを始めようと思った人のほとんどは登山かランニングの延長だと思う。
山の知識がある登山者であれば、走る体力と技術を身につけることでトレイルランニングは始められるはずだ。
ランナーは山を知る必要がある。夏のトレーニングとして気軽に紹介されているが、色々な問題が生じているので気を付けたいところだ。
しかし、両方の経験がない場合は登山とランニング、2つのアクティビティを新たにこなす必要がある。
加えてトレイルランニング用のギアが必要になるので、少なくても気軽に始められるスポーツではないと言わざるを得ない。
と、ハードルを上げるようなことを書いてきたが、トレイルには普段では味わえない魅力がたくさんある。
少しでも興味があれば挑戦してみてほしい。
トレイルランニングに必要な装備とは
近年ではトレイルランニング用のグッズが充実している。
必需品といえるのがウェアやシューズ、バッグパックに補給食だ。
ウェアの選び方
山の中を走り抜けるトレイルランニングは、運動量が豊富なため多くの汗をかく。
汗で濡れたままだとストレスや不快感だけではなく、汗冷えの原因になりやすいので注意したい。
ウェアは速乾性や吸湿性に優れたものを選ぶようにしよう。
また、走る季節によって組み合わせを変えることで快適に走ることができる。
夏を走る場合、紫外線が気になるならアームカバーやロングタイツを活用し、肌寒い場合は薄手のアウターを準備しておくといいだろう。
冬の場合、長袖シャツとウインドブレーカーにロングパンツなど風の侵入を抑える装備がおすすめだ。
山の天気は変わりやすいので、レインコートも忘れないようにしたい。
バッグパックの選び方
山の中を走る以上、何が起きても自分で対処できるようにしておきたい。
水分や食料のほかにレインウェアやヘッドライト、エイドキットなど、トレイルランニングに持っていくものは結構ある。これらを持ち運ぶためにもバッグパックは用意しよう。
トレイルランニング用のバッグパックは体に密着し、揺れにくく走りやすい構造になっている。
全面にペットボトルポケットがあるので、バッグを降ろさなくても水分補給ができる製品が多い。
容量は2~25Lとあるが、日帰りの場合は10L前後のものがいいだろう。
バッグパックの形状は、ベスト型とリュック型に分かれており、現在の主流はベスト型だ。体にぴったりと密着し、走行中の揺れを抑えられる。
シューズの選び方
トレイルランニングのシューズはランニングシューズでも登山靴でもなく、トレイルランニング用シューズを選ぶようにしてほしい。
トレイルランニングでは林道、でこぼこした道、土や砂利、岩の上、水たまりなど様々なシチュエーションを走る。
トレイルランニングシューズで検索すると、色々なシューズがおすすめとされているが、これはあくまで機能の話であり、足にあうかどうかは別問題。
そのため、機能よりもまずは自分の足にあうかどうか、できる限り試し履きをしよう。
長時間を走るトレイルランニングでは、フィッティングはなにより重要だ。少しの違和感でも大きなトラブルにつながることがあるので、まずは自分の足にあっていることを重視しよう。
補給食の選び方
トレイルランニング中は給水や食事がとれないこともあるので、補給食や飲み物は多めに用意しておきたい。
飲み物は最低でも1Lは準備しておこう。
補給食が必要な理由はハンバーノックを防ぐためだ。ハンガーノックとは体の中の糖質が枯渇したことで起こる低血糖状態のこと。
ハンガーノックになると強い疲労感を覚え、体に力が入らなくなる。重症化すると意識障害を引き起こしてしまう。
パフォーマンスを維持するため、意識的に補給食を摂るようにしたい。
補給食にはジェルタイプや固形物タイプ、タブレットタイプがある。
ジェルタイプは水分が含まれていて摂取しやすいのが特徴だ。携帯性に優れていて吸収も早いのでランニング中や直前に摂取するのがおすすめ。
固形物タイプは歯ごたえがあり、食べている感がある。消化、吸収に比較的時間がかかるため、走る1、2時間前に摂取するといいだろう。ゆっくりなペースで走る場合は途中で摂取してもいい。
水に溶かしたり、そのまま食べたりするタブレットタイプは、エネルギー補給のほかに電解質の摂取を目的としている商品もあるので、汗をかきやすい夏場に持っていくといいだろう。
その他にあると便利なもの
整地されていない場所を走るのは危険がつきものだ。躓いただけでも場合によっては大けがをしてしまうかもしれない。
そんなときに役立つのが絆創膏や固定テープ、消毒やガーゼ、包帯などのエイドキット。夏だと虫よけもあると便利だ。
ヘッドライトなどの照明器具も持っておこう。日が落ちるとあたりは一気に暗くなる。暗い足場でのトレイルランニングは大変危険だ。登山道を見失い、遭難する危険性がある。
マナーやルールと注意すべきポイント
トレイルランニングに必要なアイテムを揃えたら、始める前にマナーやルールについて知っておこう。
トレイルランニングは山を走るが、ハイキングや登山をしている人がいる。また、環境にも配慮しなくてはならない。
以下の点に気を付けよう。
すれ違い時は登りが優先
山は入山者が安全に下山できるようにルールとマナーがある。狭い山道ですれ違う場合、基本は登りの人が優先だ。
下っている人が足を止めて脇によけて、道を譲る。これは、登りのほうがキツイためペースを乱さないための配慮であり、下りのほうが視界は広く、早く状況に気づきやすいという理由からだ。
ただし、何よりも安全が優先されるので、登る人が道を譲るほうが安全な場合、下山者が優先されることもある。このあたりの判断は経験が必要になるので、とりあえずは「すれ違い時は登りが優先」と覚えておこう。
また、譲ってくれたからといって、走ってすれ違うのはNG。歩いてすれ違うようにしよう。
登山道(トレイル)から外れない
時々、登山道でゆっくり歩く登山者を追い抜くために、登山道から外れて走り追い抜こうとする人がいるが、これはマナー違反。
草木を踏むことで植生を乱したり、新たな踏み跡ができることで植物が生えなくなったりすることも。
植物が生えなくなると、そこに雨水が流れ込み、深い溝を作り、コース自体を崩壊させてしまうかもしれない。
登山道は皆が利用していることを認識することが大切だ。
装備はきちんと
トレイルランニング初心者の中には、十分に装備を揃えず走る人は少なくない。
通常のランニングを走る格好で、道に迷ったランナーに遭遇したこともある。本来、山は街中と違い大変危険なところだ。
山に見合ったリスク対策・準備を行わないと、よく知っている山であっても身に危険が及ぶ。
登山道や植生に悪影響を及ぼすと、そのコースで走れなくなる可能性が出てくる。
環境への配慮を忘れてはいけない。
また、安全のため山岳保険への加入もおすすめしたい。山の中を走る際は事故や遭難しても自己責任となる。
登山道からイノシシやクマに襲われることもありないことではない。せっかく楽しく走るのだから、自分で自分の身を守るようにしよう。
自然を走る爽快感や達成感などトレイルランニングは普段では味わえない魅力がつまっている。しかし、危険も大きく、大けがや事故につながりかねない。
きちんとした準備と知識を持って安全に楽しもう。